いじめ防止対策推進法と不登校




いじめ防止対策推進法のポイント
いじめ防止対策推進法が2013年9月に施行されました。

施行により、、国公私立を問わず、小・中・高校・特別支援学校等は、できるだけ早い時期に、「学校基本方針」を策定しなければなりません。
単なる方針だけでなく、「いじめの防止」「早期発見」「いじめに対する措置」に関する具体的な実施計画および実施体制(組織)の整備が求められています。
学校基本方針策定は学校に主体性を持たせることにより、教職員の意識改革および情報と問題認識の共有化を図ろうとしています。
学校だけでなく、国、地方公共団体、学校がそれぞれの立場で「いじめ防止の方針」を策定することが義務づけられ、それぞれの責務も明文化されました。(ただし、地方公共団体は努力義務)

いじめの加害児童・生徒に対する懲戒や出席停止などの処分のほか、犯罪レベルの行為については警察と連携を取ることやいじめによる「重大事態」に関しては、文科省や自治体への報告と、被害者への情報提供を義務付けていています。

一方、
法制化された内容は、国の通知等によって既に実施されてきたことが多く含まれており、いじめ防止に対する有効性について疑問符が投げかけられたり、いじめ問題の本質を掘り下げることもなく、質よりも形式に重点が置かれた法律であるという指摘もあります。

単に加害生徒に懲罰を加えるだけでは、いじめ問題は解決しないことは容易に想像できます。大半の児童生徒が加害者にもなり得るし、また、被害者にもなり得るという実態を考えれば、形式的な対策では不十分と言わざるを得ないでしょう。

国立教育問題研究所のいじめ追跡調査(小学4年〜中学3年までの6年間の調査25年7月)によると「なんらかのいじめを加えた」「なんらかのいじめを受けた」と認識している児童生徒はそれぞれ8割を越えています。
つまり、誰もがいじめの加害者にも被害者にもなり得る可能性があります。
注意しなければならないことは、暴力を伴わないいじめであっても深刻なダメージを受ける被害児童生徒が多いということです。

こうした根本的な疑問は残りますが、いじめ問題が注目されて
国、地方公共団体、学校、知事等が、いじめ問題解決の当事者であることを明確にしたことは一歩前進であることに違いありません。

不登校との関係
いじめ防止対策推進法で不登校に直接関係する項目は2つあります。

(1)
「いじめにより当該学校に在籍する児童等が相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている疑いがあると認めるとき」(第五章 重大事態への対処 第二十八条第2項)

この状況を「重大事態」の一つと定め、
学校の設置者又は学校は重大事態に対処することが求められ、
かつ、その下に設けた組織によって、速やかに当該重大事態に係る事実関係を明確にするための調査を行なわければならないとしています。
そして調査結果は、いじめを受けた児童生徒とその保護者に対し、事実関係その他の必要な情報を適切に提供することになっています。

従って、わが子がいじめによって不登校に至ったとの疑いを持った保護者は、先ず学校に状況を報告し、いじめ解消に向けた学校の対応を求めることが第一ステップです。
暴力を伴ういじめかそうでないかは問題ではありません。
また、文科省は、不登校の定義を「継続して30日以上欠席した者」としていますが、本法では、「相当の期間欠席」としており、不登校の期間が30日未満であっても重大事態として認められる可能性も高いと思いますので、不登校が長期化しないうちに申し立てることを勧めます。

(2)
もう一つの不登校に直接関わる条文は次のとおりです。

「政府は、いじめにより学校における集団の生活に不安又は緊張を覚えることとなったために相当の期間学校を欠席することを余儀なくされている児童等が適切な支援を受けつつ学習することができるよう、当該児童等の学習に対する支援の在り方についての検討を行うものとする。」(附則第二条第2項)

不登校児童生徒の学習に関する文科省の過去の対応は、
「学校以外の適応指導教室(教育支援センター)や一定の条件を満たした 民間施設での通所・入所日数を学校の出席扱いとすることができる」(平成9年)
「学校以外の学習を評価につなげるように学校側に求める」(平成15年)
この方針を受けて学校長の裁量行為として実施されてきました。

本法附則第二条第2項は、既に実施されてきた現場の対応よりも後退したものであるとの見方もありますが、本法はいじめを原因とする不登校に限定しているという違いがあります。
本法はいじめ防止を目的とするものであり、いじめを原因とする不登校生徒には、その原因がなくなることを想定していますので、学習支援の在り方についても従来とは異なる支援を検討することは意味があるものと考えられます。

不登校の原因:不登校といじめの関係

  
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