不登校 いじめの関係




いじめの特徴
「いじめ」は欧米では、校内暴力に含まれると考えている国が多いのですが、日本においては1980年代前半に社会問題化し、校内暴力といじめは別に捉えられています。
文部科学省が実施する学校基本調査においても「いじめ」と校内暴力は別々に統計が取られています。

この意味するところは、「いじめ」によって生じる精神的な被害に重点が置かれ、「いじめ」をする側である加害者に焦点を当てることよりも、被害者の救済に重点が置かれているからです。

「いじめ」による被害が、客観的に認識できないケースが多いのは、被害を受けた児童生徒の主観的な感情が「いじめ」を構成する必須要件となっていることに起因しています。
つまり、からかわれたり悪ふざけをされても、対象となる児童生徒が苦痛を感じることがなければ「いじめ」にはならないのです。
この個人の主観的な感情を判断することの困難さは、時として児童生徒を追い詰めていく状況を生み出していきます。
自分がいじめられていることを親も先生も周囲の人たちも知らない状況下では、ひとりで「いじめ」に耐えていくことを意味し次第に孤立していきます。、
本人が誰にも言えずに抱え込んでしまう理由は、周囲のひとに知らせることにより「いじめ」がエスカレートすることを恐れたり、自分がいじめに合っていることを知られることは、自分自身の人間性や尊厳を否定することに繋がると考える児童生徒が多いからです。
また、諸外国に比べて日本のいじめの特徴は、いじめが行われていることを子ども達が知っていても、子ども達による抑制が働かないということ、保護者や教師が「いじめ」の実体を知らないケースが多いことが挙げられます。

いじめの代表的な例は、無視する、仲間はずれにする、悪口やよくない噂を流したり、それを紙に書いたりメールで周囲の人を煽ったりする。叩く・蹴る・ぶつ等の暴力行為をするなどの行為によって被害者が深刻な精神的苦痛を受けたり、不登校、心身症、自尊心の喪失や学習意欲の低下、最悪のケースでは自殺に至るという事態に落ちるといったものです。

親として、わが子が「いじめ」にあっているかどうかをいち早く察知することが対応・対策への第一ステップです。日頃から子どもと話し合える関係を構築することが大切です。

「いじめ」をきっかけとした不登校の割合
文科省の「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」によると次のようないじめに関する調査結果が公表されています。
いじめの被害を受けた児童生徒の声を聞くと、学校へ行くのが苦痛になる、さらには
死にたくなるといった声が多いことや認知されない「いじめ」が多いことを勘案すれば
文科省の統計は実態を反映しているものとは言い難いでしょう。

※平成18年から国立、私立も含めた全体のいじめの認知(発生)件数の統計がとられています。
平成24年の文科省の発表によると平成22年のいじめの認知数は
小学校 36,909件(前年より2200件増),中学校 33,323件(前年より1200件増), 高校 7,018件(前年より1400件増)となっています。

小学校の認知件数の99%は公立小学校で発生していますが、これは大半の小学生が公立に進学しているということであって、国立、公立、私立という分類でみると、それぞれの生徒数に占めるいじめの認知件数の割合は、国立がもっとも多く、次いで公立、私立の順になっています。
中学校では、公立がいじめの認知総件数の97%を占めるとともに国立・公立・私立別の生徒数に対するいじめの割合においても、もっとも多い状況です。
小学校では高学年になるほどいじめは多くなり、中学校では高学年になるほど減少しています。小中高のなかで、いじめがもっとも多く発生する学年は中学1年で、16,370件が認知されています。

高校では中学校や小学校とくらべて相対的にいじめの認知件数は大きく減少し、高学年になるほど減少しているという傾向があります。

いじめがきっかけで不登校に至ったのは小学校で1.9%、中学校2.3%(平成22年)という低い数字になっています。
学校基本調査では、不登校のきっかけとなった理由として17項目(その他・不明を除く)あげていますが、各項目に該当する児童生徒の割合で比較すると、いじめは14番目に相当するほどの下位の理由となっています。

いじめの国際比較研究によれば、いじめの被害を誰にも言わなかった子どもの割合は、被害を受けた子どもの33.9%に及んでおり諸外国と比較しても高い数字であることを考えると、不登校の理由としていじめという理由は隠される傾向にあると推測しています。

児童生徒の自殺といじめ
自殺件数
【小学生】毎年2名〜4名ほどの自殺者が出ているが20年21年は0である。
【中学生】22年は 43名の自殺者。
【高校生】22年は112名の自殺者。

中学生の自殺の理由として、いじめを理由とする自殺は21年は2%台、22年は9%台となっています。
いじめの問題があったのではないかとの保護者からの訴えも含めていますので、保護者がいじめを疑うケースも増えています。

高校生では家庭不和と精神障害が11%でもっとも多く、次いで進路問題となっており、いじめを理由とするものは、皆無という結果です。

このように生徒の自殺という痛ましい事態においても、いじめを理由とする自殺は僅かな数に留まっていますが、一方、ニュースに取り上げられる児童生徒の自殺の要因として、いじめがあったという報道が多いことも事実です。
学校はいじめの存在はなかったとするケースが多いのですが、知らなかったというのが実体に近いと言えそうです。

いじめ発見のきっかけ
◇学級担任が発見する割合が約20%。
◇その他の教職員が発見する割合が約5%
◇養護教諭が発見  1%
◇スクールカウンセラー等の外部の相談員が発見 0.4%
◇アンケートなどの学校の取り組み 24%
◇本人からの訴え 25%
◇本人の保護者からの訴え 約10%
◇他の児童生徒からの情報 5.5%
◇他の保護者からの情報 3%
◇地域の住民からの情報 0.2% などである。

学校の教職員等が発見できたのは半数に過ぎません。
表面化しないいじめを考えると、教職員の発見する割合は更に少ないと言えるでしょう。

大津市の中学生の自殺以降 
以上の記事内容は、大津市の中学生自殺事件が発覚する前に書いたものですが、このいじめによる自殺事件がクローズアップされたことにより、いじめ問題が社会的な問題として再び認知されるようになりました。

平成24年9月に公表された平成 23 年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」によると、いじめの認知件数は約7万件で、前年度(約7万8千件)より約7千件も減少したと報告されています。
しかし、次々と明るみに出るいじめの実態を前にして、文部科学省は「いじめの問題に関する児童生徒の実態把握並びに教育委員会及び学校の取組状況に係る緊急調査」を実施しました。

調査の結果、いじめの認知件数は約14万4千件になり、平成23年度7万人の倍の数に膨らみました。
このことは、いじめのない学校を評価する教育委員会の姿勢が、いじめを隠ぺいしようとする体質に繋がっていたことを明白にしました。

 →不登校の対策:いじめ防止対策推進法と不登校


参考書籍(いじめの国際比較研究:金子書房)
児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査

 
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